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「デザイナーの応募が来ない」「採用してもすぐに辞めてしまう」など、デザイナー採用に苦戦している担当者の方は多いのではないでしょうか。デザイナーの採用は、他の職種と比較して難しいと言われていますが、その背景には構造的な理由が存在します。
この記事では、デザイナー採用が難しい理由を深掘りし、採用を成功させるための具体的なポイントや手法を網羅的に解説します。この記事を読めば、デザイナー採用の課題を解決するための道筋が見えるはずです。
デザイナー採用が難しい6つの理由

なぜ、これほどまでにデザイナーの採用は難しいのでしょうか。その背景には、市場の状況やデザイナーという職種の特性が複雑に絡み合っています。まずは、採用が難航する根本的な6つの理由について理解を深めましょう。
理由1:そもそもデザイナーの人口が少ない
デザイナー採用が困難な最も基本的な理由は、絶対数の少なさです。経済産業省の「デザイン政策ハンドブック2020」によると、日本のデザイナー人口は2015年時点で約19万人とされており、これは全就業者数の約0.3%に過ぎません。さらに、転職市場に出てくるデザイナーはもっと限られます。この希少性が、激しい人材獲得競争の根本的な原因となっています。
| 統計データ | 数値 | 出典 |
|---|---|---|
| 日本のデザイナー人口(2015年) | 約19万人 | 経済産業省「デザイン政策ハンドブック2020」 |
| 全就業者に占める割合 | 約0.3% | 経済産業省「デザイン政策ハンドブック2020」 |
理由2:Web領域を中心にデザイン需要が拡大している
近年、あらゆるビジネスにおいてWebサイトやアプリケーションの重要性が増しており、それに伴いUI/UXデザインといったデジタル領域のデザイナー需要が急増しています。EC市場の拡大を見てもわかるように、多くの企業がデジタルでの顧客体験向上に力を入れており、デザイナーの採用ニーズはIT業界に留まりません。需要が供給を大幅に上回っているため、採用競争が激化しているのです。
理由3:フリーランスなど働き方が多様化している
デザイナーはPCと専門ソフトがあれば場所を選ばずに働けるため、他職種に比べてフリーランスとして独立する傾向が強い職種です。企業に所属する以外の働き方が一般化しているため、正社員として採用できるデザイナーの母数がさらに少なくなっているのです。
理由4:従来の「待ち」の採用手法が通用しづらい
売り手市場であるため、スキルや経験が豊富なデザイナーは、求人サイトに登録して応募を待つ必要がありません。企業からのスカウトや知人からの紹介(リファラル)で転職先が決まるケースも多く、従来の求人広告を出して待つだけの「待ち」の採用手法では、優秀な人材に出会うこと自体が難しくなっています。
理由5:企業が求めるスキルセットを持つ人材が少ない
ビジネスにおけるデザインの領域は拡大しており、企業がデザイナーに求めるスキルも多様化・高度化しています。単に見た目を美しくデザインするだけでなく、マーケティング知識、ユーザー課題を解決するための設計スキル、経営視点などが求められることも少なくありません。しかし、これらのスキルをバランス良く兼ね備えた人材は非常に少なく、採用要件を高く設定するほど、マッチする候補者を見つけるのは困難になります。
理由6:スキルやカルチャーフィットの見極めが難しい
デザイナーのスキルは、履歴書や職務経歴書だけでは判断できません。ポートフォリオで過去の制作物を確認する必要があるうえ、そのクオリティを正しく評価するには専門的な知見が求められます。また、スキルが高くても、自社のカルチャーやチームの働き方にフィットしなければ、早期離職につながるリスクがあります。この見極めの難しさが、採用のミスマッチを生む一因となっています。
デザイナー採用を成功させる5つのポイント

デザイナー採用の難しさの背景を理解した上で、次はその難局を乗り越えるための具体的なポイントを5つご紹介します。これらのポイントを意識することで、採用活動の精度を高めることができます。
ポイント1:採用したいデザイナー像(ペルソナ)を明確にする
まず最も重要なのは、「どのようなデザイナーをなぜ採用したいのか」を具体的に定義することです。事業計画やチームの課題に基づき、担当してほしい業務、必要なスキル(使用ツール、経験年数など)、そして人柄までを言語化し、関係者全員ですり合わせましょう。このペルソナが明確であればあるほど、その後の採用活動の軸がブレなくなり、ミスマッチを防ぐことができます。
| 項目 | 具体的な定義内容の例(Webデザイナーの場合) |
|---|---|
| 役割・ミッション | 自社ECサイトのUI/UX改善によるコンバージョン率の向上 |
| 必要なスキル | Figma,AdobeXDを用いたワイヤーフレーム・プロトタイプ作成経験3年以上 |
| 経験 | 事業会社でのUI/UXデザイン実務経験 |
| 人物像 | データに基づいたデザイン改善提案ができる論理的思考力を持つ方 |
ポイント2:デザイナーが魅力に感じる要素を打ち出す
デザイナーは、自身のスキルアップやキャリア形成に意欲的な人が多い職種です。給与や待遇だけでなく、「どのようなサービスに携われるのか」「その仕事を通じてどんなスキルが身につくのか」「どのような働き方ができるのか」といった点を重視します。裁量権の大きさ、使用デバイスの自由度、リモートワークやフレックスタイム制度の導入など、デザイナーが創造性を発揮しやすい環境を整え、それを求人票や面接で積極的にアピールすることが重要です。
ポイント3:ポートフォリオでスキルレベルを正しく見極める
デザイナーの選考において、ポートフォリオの確認は不可欠です。ポートフォリオを見る際は、単に完成したデザインの見た目だけでなく、「どのような課題に対して、何を考え、どう解決しようとしたのか」という思考のプロセスを読み取ることが重要です。可能であれば、現場のデザイナーに選考に参加してもらい、専門的な視点からスキルレベルを評価してもらうのが理想的です。
ポイント4:デザインスキル以外の要素も確認する
デザイナーの仕事は、一人で完結するものではありません。チームのメンバーや他部署、時にはクライアントと連携しながら業務を進めるため、コミュニケーション能力は非常に重要です。面接では、「デザインの意図を言語化して説明できるか」「他者の意見を汲み取り、デザインに反映させることができるか」といった点を確認しましょう。
ポイント5:複数の採用チャネルを併用する
前述の通り、従来の求人媒体だけでは優秀なデザイナーに出会うことは困難です。転職サイトやエージェントだけでなく、ダイレクトリクルーティング(スカウト)、リファラル採用、SNS活用など、複数の採用チャネルを組み合わせてアプローチの幅を広げることが成功の鍵となります。企業のフェーズやかけられるコストに応じて、最適なチャネルの組み合わせを検討しましょう。
おすすめのデザイナー採用手法7選
デザイナー採用を成功させるためには、自社に合った採用手法を選択することが不可欠です。ここでは、代表的な7つの採用手法のメリット・デメリットを解説します。
| 採用手法 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| エージェント | 採用工数の削減、専門的なアドバイス | コストが高い |
| ダイレクトリクルーティング | 潜在層へのアプローチ、魅力を直接訴求 | 運用工数がかかる |
| リファラル採用 | ミスマッチが少ない、低コスト | 人脈に依存、安定しない |
| 求人媒体 | 広い母集団形成 | 待ちの姿勢、競合に埋もれる |
| オウンドメディア | 企業の魅力や文化を深く伝えられる、ミスマッチの防止 | 効果が出るまでに時間がかかる、コンテンツ制作の工数やコストがかかる |
| SNS | 低コストで始められる、潜在層へのアプローチが可能 | 運用に手間がかかる、炎上リスクがある |
| マッチングサービス | 採用工数をかけずにデザイナーに出会える | 登録者数や質がサービスにより様々 |
エージェント
クリエイター職に特化したエージェントを活用する手法です。採用要件を伝えることで、条件にマッチした人材を紹介してくれます。
- メリット 採用担当者の工数を削減でき、転職市場の動向に詳しい担当者からアドバイスがもらえる。
- デメリット 成功報酬が高額になる傾向がある。
ダイレクトリクルーティング
企業側からデータベースなどに登録している候補者へ直接アプローチする「攻め」の採用手法です。
- メリット 転職潜在層にもアプローチでき、企業の魅力を直接伝えられる。
- デメリット 候補者の選定やスカウト文面の作成など、運用に手間がかかる。
リファラル採用
社員の友人や知人を紹介してもらう手法です。
- メリット 企業文化を理解した社員からの紹介のためミスマッチが起こりにくく、採用コストを抑えられる。
- デメリット 人脈に依存するため、安定的な採用には繋がりにくい。不採用時の人間関係に配慮が必要。
求人媒体
デザイナーが多く利用する専門の求人サイトや、一般的な転職サイトに求人情報を掲載します。
- メリット 多くの求職者の目に触れるため、母集団を形成しやすい。
- デメリット 応募を待つ受け身のスタイルになりがちで、競合他社に埋もれてしまう可能性がある。
オウンドメディア
自社の採用サイトやブログ、SNSなどで情報発信を行い、応募に繋げる手法です。
- メリット フォーマットに縛られず、企業の魅力や文化を自由に深く伝えられる。
- デメリット 効果が出るまでに時間がかかり、コンテンツ制作の継続的な運用が必要。
SNS
X(旧Twitter)やFacebookなどを活用して企業の情報を発信し、候補者とコミュニケーションを取る手法です。
- メリット 無料で始められ、リアルな情報を発信できる。拡散力がある。
- デメリット 採用に特化したツールではないため、成果が出るまでに時間がかかる。炎上リスクがある。
マッチングサービス
企業とデザイナーをつなげるオンラインプラットフォームを活用する手法です。デザイナーは自身のスキルやポートフォリオを登録し、企業はプロジェクトの要件に合う人材を探して直接アプローチできます。
- メリット 採用工数をかけずに、多様なスキルを持つデザイナーに直接アプローチできる。また、企業の課題解決に適した人材の提案や、契約後のフォローといったサポートを受けられるサービスもある。
- デメリット 登録しているデザイナーのスキルや実績は様々であるため、求めるレベルの人材を見つけるのに時間がかかる場合がある。また、プラットフォームによっては手数料が発生する。
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デザイナー採用を成功に導くための採用フロー

効果的な採用活動を行うためには、戦略的なフローに沿って進めることが重要です。ここでは、デザイナー採用を成功に導くための6つのステップを紹介します。
ステップ1:採用計画を立てる
まず、経営戦略や事業計画に基づいて、「なぜデザイナーが必要なのか」「いつまでに何名採用するのか」「予算はいくらか」といった採用活動全体の計画を立てます。ここが曖昧だと、採用活動全体が非効率になります。
ステップ2:採用ターゲットを定義する
ステップ1で立てた計画に基づき、採用したいデザイナーの具体的な人物像(ペルソナ)を定義します。現場のデザイナーにもヒアリングを行い、必要なスキルや経験、人物像を詳細に言語化しましょう。
ステップ3:デザイナーに向けた広報活動を行う
定義したターゲットに響くような広報活動を行います。働く環境、関わるサービス、身につくスキルといったデザイナーが魅力に感じる情報を、採用サイトやSNSなどで積極的に発信し、自社を認知してもらうことが重要です。
ステップ4:母集団を形成する
前述した様々な採用手法を駆使して、候補者を集めます。応募を待つだけでなく、ダイレクトリクルーティングなどで積極的にアプローチし、母集団の質と量を確保します。
ステップ5:選考の基準と流れを設計する
ターゲット定義に基づいた具体的な評価基準を設定し、誰が、どのタイミングで、何を評価するのかを明確にします。デザイナーの採用はスピード感も重要です。選考プロセスが長くなりすぎないよう、リードタイムも意識して設計しましょう。
ステップ6:内定後のフォローと入社後の定着支援を行う
採用は、入社がゴールではありません。内定承諾後から入社までの期間もこまめにコミュニケーションを取り、入社後の不安を解消します。入社後も、オンボーディングや定期的な面談を通じて早期にキャッチアップできるよう支援し、長期的な活躍をサポートすることが大切です。
スタートアップ企業に特化した採用戦略について気になる方は、下記の記事をご覧くださいませ。
【関連記事】スタートアップの採用戦略を徹底解説!成功に導く5つのポイントとは?|Hitorime
正社員以外の選択肢も有効
正社員の採用に苦戦する場合は、他の雇用形態に目を向けることも有効な手段です。柔軟な人材活用は、事業のスピードを加速させるきっかけにもなります。
| 活用方法 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| フリーランス(業務委託) | スピーディーな人材確保、コスト抑制 | ノウハウが蓄積しにくい、帰属意識の醸成が難しい |
| トライアル採用 | スキル・人柄の見極め、ミスマッチ防止 | 候補者が限定される可能性がある |
フリーランス(業務委託)の活用
必要なスキルを持つフリーランスデザイナーと業務委託契約を結ぶ方法です。
プロジェクト単位での依頼や、特定の業務だけを切り出して任せることが可能です。正社員採用よりもスピーディーに必要なスキルを確保でき、コストを抑えられる場合があります。一方で、社内にノウハウが蓄積しにくいという側面もあります。
トライアル採用(紹介予定派遣)の活用
一定期間(最長6ヶ月)を派遣社員などとして働いてもらい、双方の合意があれば直接雇用に切り替える採用手法です。ポートフォリオや面接だけでは分からない、実際の業務遂行能力やチームメンバーとの相性を確認できるため、採用後のミスマッチを大幅に減らすことができます。特に、経験は浅いがポテンシャルを重視したい場合などに有効です。
まとめ
本記事では、デザイナー採用が難しい理由から、採用を成功させるための具体的なポイント、多様な採用手法、そして成功に導くための採用フローまでを網羅的に解説しました。
デザイナー採用が難しいのは、市場構造に起因する普遍的な課題です。しかし、その理由を正しく理解し、自社の状況に合わせて戦略的に採用活動を進めることで、必ず道は開けます。
本記事で紹介した内容を参考に、貴社のデザイナー採用活動を見直し、理想の人材獲得につなげてください。
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